上田会計レポート

(資料提供 MMPG)

                        当社の顧問会計事務所、上田公認会計士事務所より
                    
                  医院経営についての、ワンポイントアドバイス等をお届けいたします。
                             
 


Vol.4

■はじめに

先ごろの日本歯科新聞に平成14年度診療分(14.3〜15.2)の社保の支払い確定分の記事が掲載されていました。当然結果は昨年度より下がっており、1歯科医院当りの月間診療点数の全国平均は177,083点で、件数は126件、1件当り点数は1,405点。前向きな医業経営をしていくためにはいよいよ厳しい状況にあるわけです。記事にはそのほか、全国の都道府県によりそれぞれの1日当りの点数や1件当りの日数等の違いで、最高と最低の差は約1.5倍になっているとありました。しかし、これからはもうこのような記事データを読んで、ただ気落ちするのは卒業しましょう。大切なことはこうした経営環境下で、今後、自院のどこを伸ばせるかを模索し、実行努力することです。

保険診療では点数が国で決められている以上、各歯科医院はそれ以外の独自項目を改善する努力をしていくしかありません。診療実績を伸ばすために1回当りの点数を上げるのにはおのずと限界があります。したがってより多くの患者さんに来院してもらうか、1患者さんの来院頻度(月回数)を上げるしかないのです。1ヶ月のレセプト枚数、1日の来院患者数、1患者の月回数は重要なデータ項目です。少ない診療人数で効率よく診療収入や利益を上げることを考えているとしたらそれは大きな間違といえるでしょう。保険診療を経営の中心に考えていくのであれば、今後の対策として自院の診療実績データの構築をして、時系列でのデータ管理をする必要があります。データの中から良い項目と問題点を把握して具体的な対策を早急に実行するのです。これからは医療経営といえども、一般の経営と同じような経営センスが必要だといえるでしょう。あとは自由診療との2階建てで歯科経営を組み立てていく方法も重要なことだと思います。

例えば予防歯科にシフトして定期健診や再初診の人数を上げていく必要もあります。ただそれも相当数のカルテ枚数と、ある程度の月当たりの新患者数の確保が無ければ成功しません。要するに一番大変な作業である、沢山の患者さんを集める努力をするということが必要になるのです。年々保険点数の改定が厳しくなる以上、開業医にとってそのことは避けて通れません。しかし、まだまだ何も行動を起こさず、業界全体の成り行きにまかせて頭を抱えている歯科医師(事業主)が多いような気がします。各業界から発表される経営指数に惑わされる姿勢は後ろ向きです。それはあくまでも全体の平均であり、もはやその平均値を参考にしても経営は成り立ちません。

今、社会は個の時代です。いかに前向きに自院の存在価値を地域にアピールするかに勝負がかかっています。オンリーワンの歯科医院づくりこそ遣り甲斐があると同時に、生き残りのキーワードといえるでしょう。国民の口腔状態を考えればまだまだ患者さん(有病者)がいるわけですから、全国の歯科医院は、地域の人が自院へ歯の治療や検診に来てくれるよう具体的な努力をして、受療率をあげていく必要があります。もちろん潜在的な患者さんは沢山いると考えるべきです。開業した以上、地域での貢献はもとより、しっかりと経営向上もしていかなくてはなりません。

 

■患者さんが集まる歯科医院のキーワード

上記のことを踏まえて、どうすれば自院の安定経営のために必要な診療人数を確保できるのか、またどうすれば「患者さんが集まる歯科医院」ができるのか、そうなれるのかをテーマにデンタルだよりをすすめていきたいと思います。

 


流行っている歯科医院は、なぜ流行っているのでしょうか、ここでもう一度考えてみます。

1.     院長先生の技術が高い

2.     治療説明が分りやすい

3.     治療が丁寧で早い

4.     治療期間が明確で短い

5.     治療費が明確である

6.     治療メニューが多い

7.     近い場所だから

8.     診療時間が長い

9.     スッタフの感じが良い

10.  受付の感じが良い

11.  明るくて、きれいな診療所

12.  診療設備が整っている

13.  入り口が入りやすい

14.  待合室のアメニティが良い

15.  歯科の医療情報が多い

16.  定期的にお知らせがくる

17.  すべての患者に公平である

18.  受付のデンタル雑貨の種類が多い

19.  いつも混んでいる

20.  院長先生がフレンドリーでお話が上手

 

ざっと考えて20のキーワードがでました。まだまだあると思います。もっと沢山のキーワードを考えてみるだけでも大いに役立ちますので、皆さんでどんどん追加してみてください。とりあえず上記のキーワードを掘り下げていきたいと思います。項目のなかには直接治療にかかわる事と、それ以外の項目があります。そこに大きなヒントが隠されているのです。院長の技術はもちろん大切な要素になりますが、本当にそれだけで流行る歯科医院になれるのでしょうか。仮にそうだとしても長い年数が必要になります。

新患さんが来院してチェアーに座り、先生に治療してもらうまでには、ある程度の時間がかかります。それまでにその歯科医院を目で見て、感じることが沢山あるわけです。ましてや紹介者もいないのであれば、初めての来院に対する不安や緊張をほぐさなければいけません。入り口も、受付の対応も、待合室の空間も含めて、治療前の環境を大切にしてあげることは患者さんに喜ばれますし、自院のファンになるための「初めの一歩」だと思います。来院してもらわなければ先生の治療技術も提供することはできません。その地域で保健所の許可をもらって開業した歯科医院は、住民にとって公共的な場所なのです。

したがって、「まず治療に来てもらう」が基本です。その為には地域住民に気軽に来院してもらえる、入りやすい診療所をつくる必要があります。来院していただいた地域の患者さんにわかりやすく具体的な医療サービスを提供しながら、いよいよ「クリニックブランド」を築き上げていきます。      

 つづく