上田会計レポート
(資料提供 MMPG)
当社の顧問会計事務所、上田公認会計士事務所より
医院経営についての、ワンポイントアドバイス等をお届けいたします。
VOL34
パク院長に聞く 「私は日本の歯科界をこう展望する」
MMPG歯科経営研究会では、中・長期的視点から歯科医療界を展望するに際して韓国Ye歯科がとる戦略をひとつのビジネスモデルとして
注目している当研究会がパク・インチュル院長を日本に招き、経営セミナーを実施したことは既報の通りだが、
講演前日、パク院長を交えて佐々木専務理事、上田前歯科部会会長とともに座談会を実施、
その内容がアポロニア2月号に掲載されている。詳しくは同誌をお読みいただきたいが、ここでその概要を報告しておきたい
1.歯科医院に「共同経営」は有効か。またそれを成功させるための要諦は何か
これから日本の歯科医院が厳しい経営環境で生き残るためには、一人で開業するという方法だけではなく、
グループプラクティスすなわち共同経営が有効な方法のひとつになると考える。ただし、共同経営を成功させるためには、そのパートナーと経営の方向性、
その根本となる経営哲学(経営理念)を共有することが重要であろう。
2.10年後、日本の歯科医療はアジアを市場とし得るか
日本の歯科医師が、積極的にアジア地域に進出し、日本ならではの技術や、サービスモデルをアピールすることは十分可能だ。日本のみならず箸を使うアジア 圏の外科系医師は技術が高く、韓国、日本、中国の歯科医師が世界を席巻する可能性も十分にあるだろう。そのためにも、日本は、FTA(自由貿易協定)などを 通じて、歯科医師等の資格の国際共有化などを進めて、国際競争時代に乗り遅れないようにしなければならない。こういった考え方は結果的に国内の供給過剰 を解決することにも繋がるのではないか。
3.保険制度や現状の歯科環境は歯科医院経営にとって本当にマイナスか
歯科医師の過剰という環境は必ずしもマイナスではない。なぜなら、勤務医を抱える側としては人件費を低く抑えられ、歯科医院の大規模化が進む ことになり、結果的に歯科医院の業態変化を起こすことも可能となるからだ。つまり経営にとって重要なことは、現在の医療制度や医療環境につ いて、それを批判したり嘆いたりする時間をできるだけ少なくし、与えられた環境のもとでいかに歯科の付加価値を高めていくかに工夫をこらすこ とであると思う。
4.パク院長が提唱するブルーオーシャン戦略は日本でも展開可能か
韓国にあっては「誰もしていないこと」がブルーオーシャンの前提条件であった。つまり類似業態がないことがひとつの条件となる。当グループは戦略的に富裕層に対し、「これまで味わったことのない医療サービスを提供する」ことに主眼を置く。そういう視点を持てば日本の歯科界においてもブルーオーシャンは可能だ。

「歯科で世界を制覇する」〜韓国Economic Review誌で語ったパク院長の戦略
韓国版「東洋経済」ともいうべきEconomic Review1月号にパク・インチュル院長へのインタビューが掲載されているのでその一部を紹介しよう。
1.企業経営の中で、「職員が満足すれば顧客も満足する」といわれているが
その通りだ。これまでの医師中心主義から進化していかねばならない。職員をひとつにまとめる哲学というものは、全ての行動の土台となる。その哲学を中心に人間中心、顧客中心の経営をしていかなければならない。そのためには顧客を動かすのではなく、歯科医師自らが動かなければならない。歯科のチェアひとつとってみても歯科医師が治療しやすい高さでつくられている。だから我々は現在患者の目線に合う治療が可能なチェアを開発しているところだ。診療も大切だが、診療を受ける人の立場に立つことが重要なのだ。
2.グループ・プラクティスで患者中心の医療を展開
米国に3年間留学している時にグループ・プラクティスに参加する医師たちのパートナーシップを素晴らしいと思った。当時は米国の歯科医師が長い時間をとって患者と対話していることが理解できなかったのだが、だんだんと「これが本当の医療ビジネスなのだ」と思い始めた。であるから韓国に帰ったらアメリカで見たように患者と対話し、コミュニケーションをとると決心した。帰国後一人で開業し、十分な収入もあったが「個人」の限界を感じた。そこで大学の同級生4人が集まり、「我々も10年先のために今変化しなければならない、医師中心ではない顧客中心の医院をつくっていこう」と目標を定め、4名での共同開業を決心した。
これらいずれの点についても、わが国歯科界におけるこれまでの議論とはずいぶん異なる視点であることに気づく。10年後の歯科医療を見据えて、さらにアジアという広い視点から歯科医療を眺望し、歯科医院経営を見直すこともたいへん重要なことではないだろうか。