上田会計レポート

(資料提供 MMPG)

                        当社の顧問会計事務所、上田公認会計士事務所より
                    
                  医院経営についての、ワンポイントアドバイス等をお届けいたします。
                             
 


Vol.2

 

患者さんのプライバシー

先日のMMPGにおける講演にて、「患者さんのプライバシーが守られていない歯科医院が多い。」とのお話があった。私はその日からその事が気にかかって仕方がなかった。もちろん、患者さんの情報をベラベラしゃべるようなことはしていない。それなりに、患者さんのプライバシーを守っていると思っている。しかし、その先生が言われるように、ワンスペースの診療室において、患者さんと先生の会話は隣で待っている患者さんの耳に入る。「今日いればの調整しました。「次回歯を抜きますね」このような会話ひとつの中に「この人はいれ歯です」「この人は抜かなければいけない歯があるのです」とわざわざ教えている結果となっている。全くもって反省すべき点である。

そんな時、私は喉の痛みを訴え耳鼻科に来院した。今年に入って新しく改築されたばかりの医院で、その外観はすばらしく近代的で待合室の細かなオブジェはとてもお洒落である。診療室に入るためのドアは無く、診療室と待合室が隔たりのないオープンシステムとなっている。ドアがないので、診療室に入るのにあまり緊張せずに入ることができた。「オープンな診療室もいいじゃない。」私はそんな風に感じていた。そして、自分の診療が終わり、診療室を出たところでまた椅子に腰掛けて会計を待っていた。すると、次に若い男性が入って行った。入ってすぐ、「どうですか?鼻汁まだ出ますか?そうですか。」なんと先生の声が丸聞こえである。「あの男性が鼻汁?」などと考えているうちに、急に自分の時に先生が何を話されたのか気になってきた。「そう言えば私何言われたかしら?どこまで聞こえていたから?ご近所の方いなかったかしら。」プライバシーが守られていない、とはこの事なのだと実感した。

 それだけに、患者さんプライバシーを守るため色々と考えた。とはいえ、院内の改装を行わない限り、今の診療スタイルで治療をすすめていくことになる。なら、この診療室の形態の中で、私たちはどのように患者さんのプライバシーを守っていけばいいのか、今の私たちにはそこを考える方が先であると感じた。

まず、隣に患者さんがいらっしゃる時は声の大きさに気をつける。そして、声の方向にも気をつける。声を発する方向が隣の患者さんの方を向いていると話し声はよく聞こえる。しかし反対に、声の方向を外すだけでも声は鮮明に聞こえなくなる。次に、言葉ひとつひとつも気をつけてみる。「歯槽膿漏」と言わずに「歯周病」と言う。「いれ歯」と言わずに「歯」と言う。また、治療の説明など人に聞かれたくない内容は、耳に訴えるだけじゃなく、できるだけ目に訴えるように工夫してみる。紙に書いたりボードに書いたり、またリーフレットを利用したり。その方が患者さんも、隣の患者さんを気にしながら説明を聞かなくてすむのではないだろうか。また、入れ歯を外している行動など人に見られたくない動作は、私たちスタッフが壁となり目隠しの代わりをしてあげてはどうだろうか。

また、それ以上に先生とスタッフ間の会話も気をつけてみよう。治療中の先生のところに、「先生、次の初診の患者さんですが、いれ歯が合わないそうです。」などと、次の患者さんの様子を伝えにいく。これぞまさしく、患者さんの情報を、隣の患者さんに伝えに行っている状態である。そうでなく、先生が治療中はその内容を簡単にメモに書き、概要だけを伝えておき後で詳しく説明するようにしてはどうだろうか。

本音を話せるスペース、周りを気にせず先生の話を聞けるスペース。このような環境作り、状況作りは、患者さんの「安心感の獲得」のスタートではないだろうか。