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上田会計レポート NO.137

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売る力 心をつかむ仕事術」鈴木 敏文

大阪市中央区 上田公認会計士事務所の上田です。
朝夕の寒気が身にしみるころとなりましたが、皆様にはますますご清栄の事とお喜び申し上げます。

今回は、セブン&アイ・ホールディングス会長兼CEOの鈴木敏文さんによる著書「売る力:心をつかむ仕事術」を取り上げたいと思います。

消費が飽和し、簡単に物が売れない時代に、どうすれば消費者の心を知り、「売る力」を身につけられるのか。本書では、変わりゆく顧客ニーズを成功した商品・サービスを具体的に紹介し、売り手側の立場に必要なお客様の視点やノウハウが書かれています。
本書で書かれているノウハウを数点列挙したいと思います。

◆「売る力」とは、お客様から見て「買ってよかった」と思ってもらえる力である。だから、売り手は常にお客様の求めるものをかなえる「顧客代理人」でなければならない。
◆飽きられてから次の商品を開発するのではなく、飽きられた時に直ぐに次の商品を投入できるようにしなければならない。
◆「売り手の立場で」考えるのではなく、全てを「お客様の立場で」考える。
◆他店を見ることは絶対いけないというわけではありませんが、他店を見学すると既存商品を多少改良した程度の商品が生まれ易くなってしまいます。競争とは自己差別化です。社会が豊かになればなるほど、「売る力」として自己差別化が求められることを忘れてはなりません。
◆「おや」という感覚を提供するには、提案する側自身が日常生活の中で「おや」と思うような「気づき」を持つことが重要である。
◆参入が容易で誰もが狙う6割のお客様に目を奪われず、空白地帯にいる4割のお客様のニーズに確実に答えることが大きな成果を得る。
◆現代の消費者は「メリハリ消費」や「ごほうび消費」をするようになりました。それは選択について納得できる理由、つまり、消費を正当化する理由「選択の納得性」を求めるからである。
◆新しい商品・サービスを生み出すフレームワークとして、「上質」と「手軽」という2軸のトレードオフの関係で空白地帯を見つけ出す。
◆「そんなのダメだろう」と思うようなことに意味がある。みんなが賛成することはたいてい失敗し、反対されることはなぜか成功する。
◆「お客様のために」ではなく、「お客様の立場で」考える。「お客様のために」は、「売り手の立場で」考えたことであり、過去の経験を基にしたお客様に対する思い込みや決め付けがある。これに対し「お客様の立場で」は、時には、売り手側としての立場や過去の経験を否定し、お客様の都合に合わせて「絶対的に良いこと」を追求しなければならない。
◆真の競争相手は競合他社ではなく、絶えず変化する顧客ニーズである。
◆目を向けなければならないのは、「明日の顧客」のニーズである。現代の消費者は「言うこと」と「行うこと」が必ずしも一致しません。消費者自身にも具体的なイメージを持って「こういう商品が欲しい」という意見がない時代なのである。
◆売り手は過去の経験を否定し、既存の常識にとらわれずに、提案していかないといけません。そこで必要になってくるのが「仮説を建てる」という仕事の仕方である。
◆人間は損と得を同じ天秤にはかけず、利得より損失の方が大きく感じてしまう。
◆お客様に対し、「選択」に納得できる理由を伝え、価値観を共有し、「最後の一押し」をするために、「接客」がこれまで以上に重要になっている。
◆モノ余りで、消費が飽和した今の時代には、店の方がお客様に合わせて、レコメンド(推薦)する価値を絞り込んで提供する必要がある。
◆変化はリスクを伴いますが、今の時代、変化しないほうがリスクが高い。自分達が変化していく際に、私達が常に心がけなければならないのは、常に何かをプラスオン(付加)し続けることである。
◆誰にとっての「当たり前」なのかを常に考え、自分の都合の範囲内での「当たり前」でなく、相手にとって「当たり前」のことを愚直なまでに積み上げる。

ほかにも、消費の動向、売るためのヒントがたくさん書かれており、サービスを売る側の人間としてとても興味深い内容でした。

上田公認会計士事務所
上田 久之